色鮮やかな花が咲くチューリップは、フラワーパーク・植物園や公園など花を見せる施設で、春の花壇の主役として、いろいろな色の花を揃えて広いエリアに植えられています。
牧歌の里でも、上の写真のように春はチューリップのお花畑が広がっており、このお花畑の広さを感じることができるように、カメラの設定を最も広角側にして広い範囲を写したいところです。
なお、この写真はコントラストが強く輪郭がはっきりしているので、花はチューリップと判りますが、広いエリアの風景画では主役の花が小さく写って何の花か見分けがつかないことがあります。
上の牧歌の里の写真のように、手前の花をできる限り大きく撮ることで、チューリップの花と判るように撮りたいものです。ただし、被写体までの距離を近くすると背景がボケやすいこと、しゃがんで撮るなど撮影角度によっては狙った花が数多く写らないこともあるのでバランスの問題でしょう。
ブレーメの丘のお花畑の上の写真は、気に入らないところを横幅で4分の1ぐらいカットしていますが、元の写真が解像度が高いので広角で撮ってカットしてもクオリティとして支障はなく、その時見た風景の美しさは十分伝わります。
上の写真は小西堤池のかきつばた群落の写真ですが、自然の保全のため枯れた花をつんだり草を抜かないので写真は撮りにくいところです。そのため花を大きく写しても枯れた花が残っていたりで綺麗とは限らないので、アップの写真は別に撮るとして、この写真では花がはっきりしてなくても止むを得ないかもしれません。
花ショウブの名所は、上の写真の滝谷花しょうぶ園のように花ショウブがメインの菖蒲園と、植物園や公園の中に常設の菖蒲園が設けられている所とありますが、いずれも広い場所が多いので広く写した写真も撮りたいものです。この花ショウブの花の形は、特徴があるので判りやすいのですが、やはり花ショウブと判るような構図にする工夫が必要です。
チューリップ、かきつばた、花しょうぶ、いずれも稀に一輪の花でも見応えのある花もありますが、アップで撮るときでも数輪の束で絵になることが多いでしょう。ブレーメの丘で撮った上の写真のチュ-リップは、個々の花の淡いピンクと白の濃淡の違いが魅力的です。
柳生花菖蒲園で撮った上の写真の花ショウブは、白地に青の柄の入り方に個性があります。
上の写真のカキツバタの花は、どれも同じようなものですが、数輪まとめて写せば賑やかな雰囲気が出ます。
数輪の花をアップで撮る場合、特にピントの合う範囲には注意が必要です。上の写真の左のピンクのチューリップは、手前と後ろの花でレンズからの距離の遠近差が大きく後ろの花はボケています。
右の写真の白地に紫の柄のチューリップは、横に並んだ前列の花にはピントが合っていて、それで良いのでしょうが、奥の花までピントを合わせようとすれば、下の写真のようにもっと離れて撮れば何とかなりそうです。
チューリップも花ショウブも、陽射しを浴びて輝いている花を撮りたいところです。
最近流行しつつある花ショウブとキショウブ(黄菖蒲)の種間交配種は、上の加茂荘花鳥園で撮った写真のように、蛍光塗料で塗られ発光しているのかと思えるほど鮮やかに輝いて見えます。
上の写真も加茂荘花鳥園で撮った種間交配種ですが、花ショウブでは赤と黄色の中間のオレンジ系の色の花は珍しく、見る向きによって色が変化するように輝いており、いろんな角度から何枚か撮ってみると好みの写真がみつかるでしょう。
花に陽射しが当たって背景が日陰になっていると、上の写真のようにバックが黒くなり、花が引き立ち輝いて見えます。
特にチューリップの場合は、花の中に直射日光が入ると、上の写真のように提灯やぼんぼりに灯りがともったように見えて暖かさを感じます。
天気の良い日に花を撮ると、順光か逆光か光の向きには注意が必要です。上のチューリップの写真のように、同じ花でも光りのあたり方によっては別の花のように見え、二択で選ぶなら左の順光はハッキリ写っていても右の逆光の方が好みです。
上の花ショウブの写真は、左がほぼ順光、右は逆光気味ですが、現地で見た印象でも逆光の方がチューリップと同じように灯りがともっているようで気に入っています。
浜松フラワーパークで撮った上の写真は、撮影用に向きが固定されたセットで180度反対方向から撮った2枚の写真です。正午に近い時間帯では順光か逆光かは、あまり気にしなくても良いと思いますが、朝早くや午後も3時近くになってくると、上の写真のように撮った写真の印象が大きく変ります。
カキツバタは、土が乾くことがNGで常に水が張ってあって、上の写真の八橋かきつばた園のように木製の遊歩道があるなど背景に風情がある撮影ポイントが多くあります。
花ショウブは、必ずしも水に浸かっている必要はないのですが、連作障害の予防と景観を良くするために水をためる所があり、上の庄堺公園の写真のように花ショウブも水辺が似合っています。
花ショウブの花をアップで撮る時も、水面が写る構図は絵になります。
水辺の写真としては、水面での光の反射があっても、花ショウブを撮るときは水があると判るのでそれもありでしょうが、下の写真のように透明なモネの池で泳ぐコイを撮るときなど、反射光を抑えて撮りたい場面も多いでしょう。
この写真を撮ったレンズには、C-PLフィルターのKenko PRO1D WIDE BAND C-PLを常に取り付けているので、水面での光りの反射はほとんど写っていません。
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ただし、Kenko TokinaのPLフィルターの解説ページに記載されているように、C-PLフィルターの水面の反射を抑える効果は、水面から30度~40度の角度の範囲が最も反射光が除去でき、この範囲から角度が大きくなったり小さくなったりするほど除去の効果は薄れます。
つまり、水面とカメラの高低差が2mでは、角度30度(底辺:高さ:斜辺=1.73 : 1 : 2)で1.73×2m=3.46m離れた距離、角度45度(底辺:高さ:斜辺=1 : 1 : 1.4)で2m離れた距離、角度40度では暗算できませんが公式で計算すると2.38mとなり、結論は撮る位置から2.38m~3.46m離れた水面が最も反射光が除去できるという結果になります。
そのため、上の左の写真は除去効果の大きい範囲におさまって実際にほぼ除去されており、上の右の写真はコイが群れているあたりまでは良いが、それより遠方は日陰になっていてもわずかに反射光が残っています。
特に、このモネの池では池の向こうの橋の上に人がいると、水面に人並みが反射して写り込むのを距離が遠すぎて除去できません。よって池の奥の方は写しにくいところです。
PLフィルターは、効き具合をリングを回転させて調整できるので、上の左の写真はPLフィルターを無効に、右の写真はPLフィルターをしっかり効かせて撮り比べています。この右の写真は、PLフィルターの効果で水面の光の反射が抑えられ、樹木の緑も空の青さも鮮やかで良い感じです。
このPLフィルターを有効にした右の写真を見ても、池の手前から中央ぐらいまでは水面の反射光を十分に除去できており、中央より遠くなると徐々に除去の効果が薄れていることが解ります。
PLフィルターは、空を青く撮るためにも使われます。ただし、上の写真のように、向かって右側の方はPLフィルターがよく効いて濃い青色になって、より左の方は効果が弱くなって薄い青色になっているように、全体の空に効果が及ばないことがあります。
また下の写真のように、PLフィルターの効き目が強すぎて空の色が濃くなりすぎるときもあり、この場合はリングを回転させて効き目を弱くすると良いでしょう。
前述のKenko TokinaのPLフィルターの解説ページでは、空を青くする場合、PL効果は太陽に対して90度の方向で最も強く表われると説明されており、このことは空間は3次元ですから、例えば富士山頂で真上に太陽があれば360度の全ての地平線上で最も効果が強く表われ、上空に向かうに従って効果が弱まることになります。
ただし日本では残念ながら真夏の正午でも、太陽は真上でなく少し南に位置するため、アバウトに言えば地平線の下で最も効果がある向きが360度の半分程度あり、この状態は逆光や逆光気味にカメラを構えているときに該当し、ゆえに逆光での撮影では効果がわずかということになります。
少し難しいのですが、イメージとしてはフィルターの強い効果は地上では高い空に架かった虹のように半円を描き、残る半円は地中に消えるという感じでしょう。
そして目安としては、朝夕の撮影は避けるとして太陽が南東→南南東→南→南南西→南西へと移る中で、太陽が真南に近い正午に近い時間帯では、北向きにカメラを向けて低い位置の空で最も効果があって濃い青色になるということです。
また、太陽が南東にある午前中の少し早い時間帯では、順光にあたる北西にカメラを向けても効果が強いのは上空の高い空で、ファインダー内に納まる低い空では効果が少なく、北または西にカメラを振ってみて地上近くの空で効果がある方角を確認すると良いでしょう。
逆に、太陽が南西にある午後の少し遅い時間帯では、北または東にカメラを振って空の青さを確認することになります。
朝の時間帯に風景を撮ると、空に霞がかかっていて白っぽく写ることがありますが、上の写真のように空だけでなく森も白っぽく見えるときは、霞の主因である空気中の水蒸気に光が反射するためです。
こういう霞の場合も、PLフィルターの反射光を抑える効果が少しはあるようですが、前述したとおり、そもそも朝の時間帯で逆光では、ほとんどPLフィルターの空を青くする効果はなく、せいぜい上の写真の程度です。
加茂荘花鳥園で花ショウブの種間交配種がたくさん植えてある奥の方のエリアが上の写真ですが、空の青さが右の方が濃くて左の方が少し薄く、やや濃淡があるので、PLフィルターの効果が半分効いているような感じです。
それは、この写真をほぼ正午に北西向きで撮っているためで、もう少し右に向いて北向きに撮れば空全体を濃く写せますが、この写真の構図で写したいので止むを得ないところです。
このようにPLフィルターの効果にムラがあるときは、PLフィルターのリングを回して無効とするか効き目を弱くして撮れば良いので、水面の反射を抑えたいときを除いて、普段はPLフィルターの効き目を弱くして使用しており、それが花のある風景を撮る目的では便利と感じています。
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春に咲く草花は、背丈がそれ程高くないので撮りやすい被写体であり、春らしい天気の良い日にお花畑に出かけるのは楽しみです。正午を挟んでのんびりと少し長い時間滞在すれば日照の向きも変わって撮りやすい時間帯も来るでしょう。
チューリップ、カキツバタ、花ショウブの品種について詳しくは、この「四季の花巡りガイド」の「花の人気品種の紹介」コーナーからチューリップ、カキツバタ、花ショウブの品種を選んで、また花の名所について詳しくは、この「四季の花巡りガイド」の「花の名所ガイド中部」から花の名所を選んで御覧ください。
なお、当サイトのブログである「季節のフォト花便り」も、2017年4月1日に公開スタートしましたので時々再訪いただければ幸いです。