平安時代初期の古今和歌集に選ばれている「からころも きつつなれにし つましあれば はるばるきぬる たびをしぞおもふ」という歌は、「かきつばた」という5文字を句の言葉の頭文字に使って詠んだ歌として知られています。
この歌は伊勢物語の東下りの物語で、主人公が三河国の八橋に来たときに、川のほとりに咲いているかきつばたを見て詠んだ歌として記述されており、伊勢物語の作者が在原業平かどうかは諸説があるところですが、主人公は業平をモデルとした人物で、歌は業平が詠んだ歌とされ、詠んだ場所は現在の知立市八橋町である三河国の八橋と書かれています。
こうした由縁で、かきつばたは愛知県の花に選定され、知立市の無量寿寺の境内にある江戸時代中期に造られた庭園が後に八橋かきつばた園として、県内随一の名所となっています。
八橋かきつばた園へは、知立市の旧東海道の来迎寺町の信号を北に入って、700mで上の写真のかきつばた園の入口に着きますが、要は駐車場が問題で、例年かきつばたまつりの期間中は、少し東の方の知立文化広場と、その西隣の広い空地が臨時駐車場として使われています。
なお、上の写真の知立文化広場の看板の矢印のように、この交差点を斜め右に入り、次の一本目を右に回れば文化広場が見えてきますが、上の写真の案内板のように土日は右に入れないので、案内板や誘導員を頼りに進んで下さい。なお、臨時駐車場や交通規制は年によって変わる可能性もあるので確認してください。
訪問日は2015年5月8日で、天気は快晴で花はほぼ見頃と好条件ですが、地元の人に聞くと今年は花付きがあまり良くないとのことです。
上の写真の手前の辺りは、花が少ないように見えます。
この庭園は上の写真のように、かきつばたが咲いている周りに園路が設けられており、回遊しながら花を楽しめること、またそもそもお寺の周りを囲むように庭園が設けられていることから、江戸時代に流行っていた回遊式庭園の利点が残されて、かきつばた園の造りに適しているように感じます。
かきつばたの花を一輪一輪撮って、上の写真のように比べると、花としては綺麗でもシンプルな色形でそんなに違いはありません。
かきつばたは、一つの茎に3つぐらい蕾がつき、一番花、二番花、三番花と順に咲くので、次の花が咲いても枯れた花が残っていては見苦しく、また花が弱らないためにも花がらを早めに摘むのが良いようですが、ここでは上の写真のように花がらが残っているところもあります。
上の写真は、一番花なのか花がらが摘まれた後なのか解りませんが、枯れた花が無いので見た目が綺麗に見えます。
陽射しに対して撮る角度が良いのか、上の写真の向きでは色が鮮やかに撮れています。
上の写真の辺りは、かきつばたの花が咲いてない時期でも、日本庭園として見応えがありそうです。
八橋かきつばた園には2014年5月12日にも来ており、その時の方が花数は多く咲いていましたが、あいにくの曇天でした。上の写真も花は少し暗いと感じますが、かきつばたの花の色はクールで日陰になる場所や曇りの日では、花らしい華やかさが見られなくなるので、晴天の日に陽が当たっているところを撮りたいと思っています。
カキツバタの品種について詳しくは、この「四季の花巡りガイド」の「花の人気品種の紹介」コーナーからカキツバタを選んで、またカキツバタなど春に咲く草花の写真の撮り方については、「花の撮影テクニック」から御覧ください。