「ソメイヨシノ」は、定説では「エドヒガンザクラ」と「オオシマザクラ」の交配種で、エドヒガン系のように花が先に咲き後から葉が出ること、オオシマザクラのような大きめの花が咲くことが特徴です。
上の写真は、いずれも江南フラワーパークで撮影しており、左がオオシマザクラ、右がエドヒガンザクラで、ソメイヨシノの系統ですから似ています。
「そめいよしの」の名の由来は、江戸時代末期に染井村(豊島区)で創り出され、当時は吉野桜と名付けられた品種ということです。その後、吉野山のヤマザクラと区別するため、明治時代の1900年に「ソメイヨシノ」と改名されています。
「そめいよしの」は自然交配ができないので、全国各地の公園や街道などに人の手で植えられており、そして人気がある「そめいよしの」が植樹された桜並木が圧倒的に多くなっています。
上の写真の寺尾ヶ原千本桜公園も、昭和27年3月に300本の苗木が植えられたのが始まりです。
「そめいよしの」の魅力は、花の白さにあると感じますが、同じ様な気候の地域では同じ時期に開花して同じ時期に散ってしまうので、花見の時期が限られて短いのが残念なことです。
ヤマザクラ、シダレザクラ、コヒガンザクラ、ウスズミザクラ、カワヅサクラなどソメイヨシノ以外の桜の品種では、ソメイヨシノと咲く時期が異なり、早く咲く種類の桜もあります。
上の画像の左が東谷山フルーツパークで撮った川津桜で、右が掛川城周辺で撮った掛川桜です。掛川桜は3月の早い時期に咲くので、アチコチで見かける早咲きの川津桜と同種かと思っていましたが、比べて見ると随分違うような気がします。
掛川桜は、上の写真のように遠景から見ると桜としてはかなり色が濃いという印象です。
上の写真の左が京都府立植物園で撮ったヤエベニヒガンで、右が東谷山フルーツパークで撮ったジュウガツザクラです。
上の写真は、京都府立植物園で撮った樹齢60年のオオシダレザクラで、円山公園のシダレザクラの姪の木とのことですが、確かに多くの枝を持つスケールが壮大な桜です。
シダレザクラの中でも、上の画像の左の東谷山フルーツパークのウジョウシダレは別の花かと思うほど大振りの花で、右の光前寺のシダレザクラは可愛らしくて人気があります。
上の写真は、左が霞間ケ渓、右が138タワー隣接の木曽川堤で撮った写真で、いずれもヤエベニシダレと思われます。木曽川堤では単にシダレザクラと名札に書かれてましたが、八重で紅色で枝垂れているので、見たとおりの名前であればヤエベニシダレとなります。
上の写真は、高遠城跡公園で撮った写真で、タカトオコヒガンザクラを写しており、この桜もソメイヨシノと比べれば少しピンクが濃い色をしています。
高遠の桜は上の写真のように、やや暖かみのある薄紅色で花びらと外側のがくや雄しべとの色調のバランスも上品な桜で、宣伝どおり「天下第一の桜」かどうかは別として、小ぶりで可憐という表現がぴったりの可愛い桜です。高遠は山間地で、見頃が4月中旬以降と少し遅れるので、この地域では他の名所の桜が散った後でも間に合うのもメリットでしょう。
高遠の桜と同種のコヒガンザクラは、エドヒガンとマメザクラの交配種で、花がエドヒガンより小さいのでコヒガンと呼ばれますが、単にヒガンザクラと呼ばれていることもあります。
コヒガンザクラは古くからアチコチにあり、同じ南信州でも上の画像の左の春日公園の桜、右の千人塚公園の桜も名前はともかくコヒガンザクラ系でしょう。
上の写真は、醍醐寺の三宝院の玄関前にある太閤シダレザクラです。この醍醐寺には、かわづ桜、しだれ、ソメイヨシノ、山桜、八重ザクラなどの種類の桜があります。訪問した日はそめいよしのが咲くのを待って出かけましたが、このシダレザクラが満開でした。
上の左の写真は、三宝院の太閤シダレザクラですが、花の色と形はコヒガンザクラに似ています。右の写真は醍醐寺の金堂前の庭のそめいよしので、咲き始めの綺麗な花が撮れました。醍醐寺では様々な桜が約3週間に亘って咲くとのことで、それぞれ見頃の時期があって桜の種類によっては再訪が必要です。
上の画像の左が東谷山フルーツパークで撮ったプリンセス雅で、右が霞間ケ渓で撮ったおそらくヤマザクラ系でしょう。
霞間ケ渓の小高い丘から撮った上の写真は、山の緑の樹木と青い空と桜の鉄板の構図です。
同じように鉄板の構図で、滋賀の山中のうぐい川公園にて、ちょうど見頃になりかけたソメイヨシノが圧倒的な最高の撮影スポットでした。しかし、はやり立って朝から出かけて撮った写真ですが、日照の方位の関係では午後になってからの方がもっと色鮮やかな良い写真が撮れたでしょう。
桜は、花見の人が写りこむのを避けて上を向いて撮らざるを得ないことが多いので、上の長浜城の写真のようにお城は格好の背景となります。
上の写真の伊賀の上野城では、城をバックにそめいよしのを写す多くの撮影スポットがあります。
上の写真は彦根城で、城郭内のいたるところに桜が植栽されていて華やかで、広い臨時駐車場の出入りも賑わうほど訪問者が多い桜の名所です。
上の写真は、浜松フラワーパークで撮っていますが、こうした植物園のような場所では、この時期に咲く菜の花やチューリップも構図に含めて撮ることができます。
桜の種類の違いと咲き具合の差異で、まだら模様になった上の写真の霞間ヶ渓の景色は、桜の木が創り出す濃淡のグラデーションが魅力的な絶景でしょう。
桜の季節の1~2週間の間に天気の良い日に周れる所は限られますが、毎年少しづつでも訪問して、お気に入りの桜の写真を増やしていくつもりです。
それぞれの桜の名所について詳しくは、この「四季の花巡りガイド」の「花の名所ガイド中部」の「桜の名所リスト」から桜の名所を選んで御覧ください。
なお、当サイトのブログである「季節のフォト花便り」も、2017年4月1日に公開スタートしましたので時々再訪いただければ幸いです。