紅葉という漢字は、「こうよう」とも「もみじ」とも読み、もみじという言葉は、もみじというかえでの木をさしたり、赤く色づいた葉のことを表わしたり、使い方がまちまちです。そもそも植物の分類上は、もみじの木はカエデ属に分類され、日本で最も一般的なカエデ属の品種はイロハモミジです。
イロハモミジの紅葉は、緑の葉が黄色から赤に染まっていくので、まれに上の左の写真のように三色の葉が揃っていることもありますが、最終的には右の写真のように人気がある濃い赤色になってほしいものです。しかし2015年、2016年と、どこも色付きが良くない年が続いています。
上の写真のような森が燃えるように赤く染まる紅葉は、目に焼きつく幻想的な景色です。
イロハモミジの他にカエデ属のモミジは、オオモミジとヤマモミジが多く、上の写真のモミジはイロハモミジより大きくて、葉の縁(フチ)の形が、あまりギザギザになっていないというオオモミジの特徴に合致しています。
改めて3種類のモミジの葉の違いを調べると、見た目で判りそうなことは次のような感じです。なお重きょ歯とは、葉のフチにノコギリの歯のようなギザギザがあり、それが不揃いで、単きょ歯はきれいに同じようなギザギザが揃っていてあまり目立たないものです。
種類 | イロハモミジ | ヤマモミジ | オオモミジ |
---|---|---|---|
葉の大きさ | 長さ 3.5~6cm | 長さ 5~10cm | 長さ 7~12cm |
葉の分列数 | 5~7分裂 | 7~9分裂 | 5~9分裂 |
葉の縁の形 | 重きょ歯 | 重きょ歯 | 単きょ歯 重きょ歯もあり |
柄の長さ | 長さ 2~5.5cm | 長さ 4~8cm | 長さ 3~5cm |
上の表は、見分けがつくかという観点で、諸所の解説の中からできる限り広く捕らえており、その結果イロハモミジが小さくて、オオモミジが大きいこと以外は、識別の決め手とはなりそうにありません。
葉の掌(てのひら)状の分裂は、7分裂であれば3種類とも一般的であり、茎につながる葉の柄の長さも4~5cm程度ならいずれも該当し、葉の縁の形も、オオモミジは単きょ歯が普通としても、不揃いなギザギザの重きょ歯もないわけではありません。
ヤマモミジは、イロハモミジとオオモミジの間ぐらいの大きさですが、イロハモミジとの相違があまりないので識別は難しいのですが、ヤマモミジは日本海側に分布しているので、上の写真はおそらくイロハモミジでしょう。
上の写真の黄色いモミジは、葉が細くて珍しい左のモミジは少し赤くなりかけている葉もありますが、右のモミジは赤くならなくてもこのままで綺麗であり、モミジはイロハカエデの園芸品種も多いので、なおさら品種の特定は難しそうです。
上の左の写真は、分裂の形状からカエデ属のハウチワカエデに似ており、上の右の写真はモミジに似た形の葉で紅葉するフウ属のモミジバフウのようです。時々見かけるモミジバフウは、分裂の根元が太いのでモミジと違うという感じはします。
カエデ属のモミジの他にも紅葉する木は多いので、上の写真のように風景写真を撮るとモミジ以外の木が写りこむこともあります。
上の左の写真は、恵那峡での銀杏の木、右は西明寺本坊の庭園の写真で、色付いている夏椿が写っています。モミジ以外の木の紅葉は、あえて撮る機会は少ないかもしれませんが、山間地の街道や、いろんな種類の樹木が植えてある庭園などでは被写体として含めたいところです。
紅葉は、樹木の品種は気にしても確認できないことが多く、むしろ赤、橙、黄色などの色合いと色付きを見て、自分で美しいと感じるかどうかの方が意味があることでしょう。個人的には、特に上の写真のように、多くの色で彩られている写真が好みです。
モミジの園芸品種は多く、かつて我が家には一年中葉が濃い赤色のもみじがありましたが、上の写真のように、まさに原色の赤は色合いとしてはベストと感じます。
上の写真のような黄色のモミジは、この先さらに赤く色付くかどうか気になるところです。
小國神社で撮った上の写真は、赤と黄の中間色の鮮やかなオレンジ色の濃淡の違いによるグラデーションが魅力的です。
金剛輪寺で撮った上の写真は、池を配した日本庭園で常緑の草木も多いため、むしろ紅葉する木々が陽がさして浮かび上がるように引き立っており、和の美である紅葉を満喫するためには周囲の景観も重要でしょう。
なお、当サイトのブログである「季節のフォト花便り」も、2017年4月1日に公開スタートしましたので時々再訪いただければ幸いです。